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PRIMA LAB
Medical Imaging · Ultrasound · 2026

2つのセンサで,
超音波画像を3Dに.

手持ちの超音波プローブに小さな計測装置を取り付け,乳腺の立体画像を再構成する研究.

Portable Freehand 3D Breast Ultrasound — 複雑な位置追跡装置に依存せず,移動距離と傾きを測る2自由度(2DoF)方式で,可搬性と低コスト化を目指します.

FREEHAND 3D ULTRASOUND DUAL ROTARY ENCODER 2DoF TRACKING
01 / CHALLENGE

2D超音波から,立体的な情報へ

一般的な超音波検査は断面画像を見ながら行います.複数の断面を組み合わせて3D画像を作るには,「それぞれの画像が,空間のどの位置と角度で撮影されたか」という情報が必要です.

光学式トラッカーなどを用いる方法もありますが,装置が大きく,設置・運用が複雑になりがちです.

本研究の着眼点は,乳腺表面に沿った走査では,プローブの動きを「進んだ距離」と「傾き」の2つの量で捉えられる場面が多いことです.
02 / DEVICE

ローラーとヒンジで動きを測る

プローブに取り付ける専用の3Dプリント部品に,2個の磁気式回転エンコーダを搭載しました.

ローラーと傾斜ヒンジに2個の回転エンコーダを搭載した超音波プローブ装置の構造
論文 Fig. 1より:2個のエンコーダを配置した3D超音波用アタッチメント.
装置の構成
構成要素役割・設定
回転エンコーダAS5600 × 2個(磁気式)
移動距離滑りを抑えたローラーの回転量から計測
傾斜角ヒンジの回転角を直接計測
姿勢情報2自由度(移動・傾斜)+計測時刻
制御・取得Seeed Studio XIAO ESP32S3
3D再構成3D Slicer,断面配置と線形補間
03 / RECONSTRUCTION

断面をつなぎ,3D画像を再構成

取得した2D画像を位置・傾き情報に合わせて空間へ並べ,画像間のすき間を補間します.最終的な3D画像の作成には,医用画像処理ソフトウェアの3D Slicerを利用しています.

超音波断面と位置姿勢を用いて,補間を行い3Dボクセル画像へ再構成する処理の流れ
論文 Fig. 3より:2D断面の取得,位置合わせ,補間,ボクセル化までの処理の流れ.
1

画像+動きの計測

撮影中の超音波フレームとエンコーダ値を時刻に基づいて記録.

2

空間上に配置

移動距離と傾きから各断面の位置を推定し,走査軌跡を復元.

3

3Dとして可視化

断面間を補間し,内部構造を立体的に観察できるボリュームへ.

04 / EXPERIMENTS

実験で確かめた測定精度

ロボットアームによる既知の移動・傾斜を基準として,装置の計測性能を評価しました.

ロボットによる計測精度の検証
測定項目条件RMSE(誤差)
移動距離乾燥した表面0.38 mm
移動距離ゲル塗布面0.81 mm
傾斜角回転エンコーダ2.76°

RMSEは平均二乗誤差平方根.小さい値ほど参照値に近い計測です.

ファントム実験の条件
対象乳腺ファントム BB-03
球状構造直径 5・7・10 mm
走査方法V1〜V4,計4種類
繰り返し各条件10回,合計120回
ボクセル間隔0.1 mm
4つの走査パターン
V1放射状・中心に向かう
V2放射状・中心から外へ
V3周回・時計回り
V4周回・反時計回り

出典:論文 Section 4.数値はロボットを用いた所定の試験条件下の誤差であり,人体での診断性能を示すものではありません.

3D再構成の可能性と課題

5・7・10 mmの球状構造を含む乳腺ファントムで,4種類の走査パターンを評価しました.いずれのパターンでも立体的な再構成が可能でしたが,対象の大きさと走査方法によって誤差は変化しました.統計解析では,両者の影響とその交互作用が有意でした.

本研究は制御されたファントム実験による実現可能性の検証です.今後は人体での評価,複雑なプローブ運動や組織変形への対応,自動セグメンテーションの改善が必要です.

体積再構成誤差に影響する要因(二元配置分散分析)
評価した要因F値p値結果
球の直径3.300.041有意
走査パターン8.37<0.001有意
直径 × 走査パターン2.750.016有意

論文 Table 4.p < 0.05を統計的に有意と判定.走査方法の影響は,対象の大きさによって異なります.

05 / VALIDATION

ロボットによる参照結果とも比較

ロボットアームで制御した走査を参照し,再構成ボリュームと内部球状構造の位置関係を比較しました.赤い輪郭がロボット参照,黄色い輪郭が提案方式による結果を表します.

DOBOTロボットアームによる参照3D再構成と,回転エンコーダ方式による再構成の比較
論文 Fig. 14より:DOBOTを用いた参照結果と,提案システムによる再構成を比較.
PUBLICATION · SENSORS · 2026

Portable Freehand 3D Breast Ultrasound Using a Dual-Rotary-Encoder 2DoF Tracking Framework

Syahid Al Irfan and Oky Dicky Ardiansyah Prima
Sensors 2026, 26, 4080.